スペイン横断ワイン三昧の旅 VOL.3

マドリとトロの個性的な白

マドリーからバスに揺られて1時間半、まずはDO ビノス・デ・マドリード「Bodegas Francisco Casas」に到着。
思っていた以上に大きいボデガ。42カ国に輸出をしており、かなりの大手企業らしい。1940年創業。土地は1917年に取得していて、現在その中には70年以上の樹も存在するという。しかしながら、やり手の若社長Vicente Francisco Casas Cano氏はコストパフォーマンスを重視した低価格な若飲みワインを中心に事業展開している。高品質ワインができる可能性があるのでは?と問いただしてみたところ、予定はないとのこと。残念。やはり企業ですな。
約8種類のワインテイスティング。それに加えて「バギンボックス」と言って(なぜか皆で言って盛り上がっていた)3L程の箱に入った真空パックされたワインも試飲。このような安くてお得なスペイン産のボックスワインがもっと大量に輸入されれば(おいしいのが前提)、日本で盛んなスペインバルにとっては使い勝手がいいアイテム。もちろん美味しければ家にも欲しい。今考えると7,8年前、パリのバスティーユ広場の近くに、ビオ・有機専門で、しかもこの「バッキンボックス」のみ扱っているワインショップがあり、色、デザインとも選り取り緑な非常に楽しめるショップがあったのを思い出しました。もちろんすべて試飲可。そんな店が日本にもあると嬉しいのに。
さて、ここでの試飲では白2本が変り種として使えそう。「トチュエロ」と「カンパロン」の白。
トチュエロは、マルバルと呼ばれるマドリー周辺で一般的に栽培されている白葡萄品種。すっきりとした口当たりで、ほんのりレモンなどの柑橘類や、ハーブのすがすがしい香りの立つ、春夏向きのフレッシュな白。ノン・バリカのチャレロに似た、私好みのワイン。
カンパロンは、1956年に同会社がDOトロに設立したボデガ。もちろん赤はティンタ・デ・トロを使った濃厚な赤。そして、この白はマルバシアというギリシャ原産の古代を象徴する白葡萄品種(色の淡い赤葡萄もある)。特にイタリアやイベリア半島で作られており個性的なもの。濃厚な赤が有名なDOトロでは、このマルバシアとベルデホが白葡萄品種として認められている。やはりこれもレモンやオレンジなど柑橘類や、ハーブの香りに、なぜか日本酒の麹風呂の中に入ると感じられるような独特の香り(栗の花の香り)など、やや複雑さのある個性的な香り。やや温度が高かったせいか、酸がだらけて感じられたが、アイテムとしては申し分の無い1本でした。
この後、小さな街中にあるBARでの昼食では、ミガス、モルシージャ、ハモン・デ・バカなど、これでもかと言わんばかりの山盛りな郷土料理に、ボデガからあれこれワインを持ち込み、宴会が始まったことは言うまでもありません・・・。